雨のあとに
お父さんは考えるように話した。

『ちょっと待ってよ、マリアの目的はあたしじゃないの?だって何度も襲われたのよ?』

『まだハッキリとは言えないが、もしマリアの目的が魔王なら扉を開ける必要はないじゃないか。どちらにせよ魔王が大きく関わっているのは間違いない。』

その場にいる全員がお父さんの言う事に納得した。レオンがお父さんに質問をした。

『セイシロウさん、扉は本当に存在するんですか?』

『ああ、私もマリアに連れられ一度だけ扉を見たことがある。世界の中心と呼ばれる島、バズズ島にね。』

あたしがどこか聞くとカーダが詳しく説明してくれた。

『バズズ島とは世界で唯一、人間国と魔国のどちらの領土でもない島なのです。正確に言えばどちらも要らない島なんですけどね。バズズ島には何故かどんな植物も育たず、生き物も近寄らない島なのです。』

確かにそんな島なんて要らないよね。それからお父さんはもっと詳しく調べると言って図書館に向かった。みんなそれぞれの仕事に戻り、あたしもディーンと部屋に戻ることにした。

マリアの目的って何なんだろ?あたしは妙な不安に身を震わせた。ディーンがそっとあたしの肩を抱いて「心配するな、私が守ってやる」と言ってくれているようだった。
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