雨のあとに
あれこれ考えても答えなんて出てこないわ。あたしは明日に備えてもう寝る事にし、ディーンと一緒に部屋に戻った。

朝、スッキリとした気分で目が覚めた。早起きは三文の得って言うけど、となりに小さく寝息を立てるディーンの寝顔を見れたから早速得しちゃった気分。

良く眠ってる、それもそうよね。朝方まで仕事をしていたみたいだったから。ディーンを起こさないようにゆっくりベッドから降りて、服を着替え、部屋を出た。

静かな廊下を抜けて、中庭の方に行ってみた。中庭では小鳥は元気に歌い、風が草木を揺らして心地良い音楽を奏でる。今日は本当に気持ち良い日ね。

さ、今日は大事な日なんだから頑張らなくちゃ。ぐっと背伸びをした瞬間、背後から腕が伸びて来た。あたしの体は後ろに引っ張られ、尻餅をついてしまった。

お尻が鈍く痛む、一体何が起こったの!?周りを見回すと、そこはさっきまで居たお城の中庭じゃなかった。ゴツゴツとした岩に囲まれている、どうやらどこかの洞窟の中みたい。

『ここはどこ?』

『バズズ島よ。』

後ろを振り向くと、あたしを見下ろすマリアが立っていた。

『マリアっ!!』

素早く立ち上がり、マリアから離れて距離を取った。鋭くマリアを睨みつけ、マリアの動きに注意しながら構えた。マリアは不適に笑い、沈黙のまま睨み合った。

『やっとよ。』

マリアが急に口を開いた。

『やっと長年の願いが叶うわ。』

『…願い?』

『そう、思えば長い年月だった。けれどやっとこの世界中の全ての命を消し去る事ができる。』

マリアの瞳から異様な寒気を感じた。

『どうして?って顔をしてるわね。』

マリアはあたしの反応を楽しんでいるかの様に聞いてきた。

『どうしてなの?』

『聞きたい?』

『ええ、あなたの目的がなんなのかサッパリ分からない。』

マリアはクスクス笑い出した。

『教えて上げても良いけど、その前に一つクイズよ。問題、あたしは魔族か?それとも人間でしょうか?』
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