雨のあとに
レディアは魔力が尽きるまで攻撃を続け、魔力が尽きると地面に膝をついて沢山の汗を流していた。

辺りの煙が落ち着いて、周りの景色が見え始めるとレディアの表情には恐怖の顔が浮かんだ。クリスはキズ一つ無いどころか、服に泥一つ付いていなかった。そして、クリスはニコニコしながらレディアに人差し指を向けた。

『バイバーイ。』

クリスの指からレーザーのような物が飛び出し、レディアの心臓を突き刺した。レディアは口から血を吐き、聞くに耐えない叫び声を上げた。そしてクリスはレディアの体を空中に持ち上げ、地面に叩きつけてトドメをさした。

さっきまで動いていた三人が数分で動かない人形にされてしまった。何が起こったか分からない、理解したくない。それでも、クリスが今まで見たことのない恐怖の固まりのような存在だと知らしめられた。

クリスがゆっくりあたし達の方を振り向き、そして笑った。

『またね〜。』

クリスは天井に大きな穴を空けて、その穴から空に消えて行った。あたし達は生きている、今は生きていることさえ奇跡のように感じた。あたしはボロボロと泣き出し、その涙が何に対して零れているのかさえも分からなかった。
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