雨のあとに
部屋を出て行ったあたしをディーン達が追いかけてきてくれた。そしてディーンに腕を掴まれ、ディーンと向き合った。

『アメ、まさか一人で行くつもりか!?』

ディーンは半分心配して半分怒っているという感じかな、あたしの腕を掴んだディーンの腕をそっと離した。

『仕方ないよ、人間達を助けることが裏切りになるならあたしは裏切り者だもん。それでもあたしは助けに行きたいの。』

『なら私も行く。』

『私も。』

『僕も行くぞ。』

『ぜひ私も御一緒に。』

『もちろん俺も行くよ。』

ディーン、お父さん、エレット、カーダ、レオン、それにシーバーも何も言わないけど、付いて来てくれると言うように頭を下げた。

『みんな、ありがとう。…でもエレットとカーダはお城に残って。』

『何でだ!?』

『何故っ!?』

2人は有り得ないって顔をして驚いていた。

『2人にはお城を守って欲しいの。』

2人は嫌がったけど、ディーンやレオンも同意見だと言ってくれたお陰で2人を納得させることができた。

本当は女の子のエレットや戦闘タイプじゃないカーダを連れて行っても守りきる自信がない。

きっとこの戦いは小さな油断や迷いが死に繋がる、だから2人は連れていけないの、ごめんね?

不満顔のエレットとカーダに見送られ、あたし達はクリスがいる国境を目指した。みんな一人一頭ずつ馬に乗って、あたしはディーンの後ろに乗った。国境までは馬で急げば一時間もあれば到着できる距離だ。

国境に着くまでの間、あたしとディーンの情報やお父さんが調べた昔話レベルのクリスの情報をみんなに伝えたり、戦い方の相談などもした。

バズズ島から持って来た王の鍵と魔王の鍵を握りしめた。少し魔力を込めると、2つの鍵は黒刀と白刀と変化した。今のあたしには2つの鍵が扱えるようになってる。あたしにはそれがレインが力を貸してくれているように思えて、とても心強かった。

クリスとは想像もつかない死闘になる、それでもあたしにはディーンと家族と仲間が付いてる。この身体が滅んでも、この世界を守ってみせるわ。
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