雨のあとに
二つの鍵を刀に変え、切っ先をクリスに向けた。それを合図にディーン達も剣を構えた。クリスは戦闘体勢に入ったあたし達をニコニコしながら眺めた。

『へぇ、次はアメちゃんが遊んでくれるの？本当はアメちゃんは最後に取って置きたかったんだけど。でも良いよ、遊ぼ。』

一瞬でクリスの目つきが変わり、眼力には圧迫感さえ感じた。初めてクリスと目が合った時みたいに身体がガタガタと震えてしまう。するとディーンがあたしの肩をポンと叩いて前に出た。

『悪いが相手はアメだけではないぞ。』

ディーンに続いてお父さん、レオン、シーバーもあたしの前に出てクリスとの間に壁を作ってくれた。

『私達とも遊んでもらうよ。』

『もっとも俺たちは負けるつもりも無いけどね。』

『アメ様は我々が御守りする。』

みんな…。そうよ、あたしは一人じゃない。みんなから貰った勇気を糧にあたしはみんなと並んで立ち、クリスを睨み返した。するとクリスは眉間にシワを寄せて、不愉快そうな顔をした。

『クリスとアメちゃんの邪魔をする気？ウッザイ、あんた達はコレと遊んでてよ。』

クリスは人間の死体の山に向かって、人差し指の先から青緑色の光を放った。すると死体の山が揺れ始めて、死体達がゆっくりと動き出した。その光景を見てお父さんが叫んだ。

『こ…これは、数千年も前に封じられた禁術、反魂の術じゃないか!?みんな気を付けるんだ！コレは動く死体だ、肉体を粉々にするまで襲って来るぞ!!』

数百体という人間の死体達は一斉に襲い掛かって来た。死体の軍勢にディーン達が応戦して、あたしとクリスの一騎打ちになってしまった。

『コレで邪魔は入らないね。』

『みんなにもしもの事があったら許さないから。』

『わ〜怖い☆じゃあアメちゃんが終わったら直ぐにあの人達も殺してあげる。』

血がざわざわとするのを感じた。まるで体中の血が沸騰しているみたい。

『そんなこと絶対にさせない！』

二つの刀を思いっきり叩きつけた。クリスはあたしの刀を手から放つ光の剣で受けた。こうして、あたしとクリスの戦いの幕が開けた。
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