雨のあとに
さっきの死体とは比べものにならない数だ。

『お父さん、これも魔術なの?』

『これは傀儡術の中で最も難しい変兵術だ。しかし、こんな数を作り出せるなんて…。私達でこの数を相手にするのは無理だ。』

襲いかかる泥人形達をどれだけ倒しても一向に減る気配がしない。ディーン達の体力も限界に近いはず。このままじゃ全滅してしまう!

半分諦めかけたその時、泥人形の向こう側から大勢の声が聞こえてきた。

『陛下ーっ!!』

『カーダっ!?それにエレットまで。』

2人は大勢の兵を引き連れてあたし達の所にやって来た。

『陛下、加勢にきました。私達が来たからにはもう安心ですよ。』

『僕たちだけじゃないぞ。フルジマや他の国の人間も来てくれた。』

エレットと指す先には更に沢山の軍勢が泥人形と戦ってくれていた。それだけじゃない、加勢してくれた人間たちを見てマサルドリアを攻めようとしていた人間たちも一緒に戦ってくれている。

まだ諦めるのは早すぎる、こんなにも生きようと戦う人たちがいるんだから。あたしはもう一度刀を構え、クリスの元に走った。
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