雨のあとに
レインの態度からクリスに勝つにはそれなりの代償が必要だと分かった。それでもあたしの決意は変わらない、もう一度レインに同じ質問をした。

『どうすれば良いの?』

レインはあたしの決意を受け取るようにあたしの瞳を見て話した。

『それは…あたしの魔力をお姉ちゃんの魔力に加えるの。』

『それって…レインを取り込むってこと?』

『…うん。』

『そんな…それじゃあレインは?』

『あたしはお姉ちゃんの魔力の一部となって二度と会えなくなる。』

『そんなっ!』

戸惑うあたしにレインは更に言葉を加えた。

『聞いてっ!あたしは元々死んでしまっているから気にしなくて良いの。むしろお姉ちゃんと1つになれるなら本望だわ。でも、そうなるとお姉ちゃんは魔王と初代国王の2つの巨大な魔力を手に入れる事になるの。そうなるとお姉ちゃんの身体が強大な魔力に耐えられないと思うの。』

『どうなるの?』

『多分、一時間ぐらいでお姉ちゃんの身体は消滅してしまう…。』

一時間、一時間でクリスを倒せなかったら全て終わってしまう。だけどあたしの心に迷いはなかった。

『レイン、アナタの魔力をあたしに頂戴っ!!』

『後悔しない?』

レインは最後の確認をしてきた。あたしは迷うことなく深く頷いた。

『…分かった。お姉ちゃん、あたしの手とお姉ちゃんの手を重ねて。』

レインに言われた通りに手を差し出し、レインはあたしと両手をギュッと握りしめた。レインが息を吐くと同時にあたしの中にレインの魔力が流れ込んでくる。

ドンドン魔力が流れ込んでくる感覚はまるで血管の中に無理やり血を送り込まれるような苦しみと痛みを伴った。一瞬手を離しそうになってしまったけれど、辛そうなレインの表情を見ていたら逃げることなんてできなかった。

レインは最後に残りの魔力を一気にあたしに送り込んだ。するとその勢いで心の世界から現実の世界に押し戻された。
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