雨のあとに
あたしも足下に落ちていた鍵の刀を拾ってクリスに立ち向かった。

再び激しい力のぶつかり合いになったけれど、今度はあたしがクリスを追い込む形になった。あたしの一太刀がクリスを押さえ込み、もう一度クリスを吹き飛ばした。

クリスは口元から血を流し、ヨロヨロと立ち上がり口元の血を拭った。そして袖に付いた血を見て、ワナワナと体を震わせた。

『嘘だ、こんな事ありえない。クリスがアメちゃんなんかに負ける訳ないもん。こんな事あったらいけないんだーーーっ!!』

あたしとの力の差にクリスはかなりのショックを受けていた。怒ったクリスの身体から凄まじい魔力が渦を巻ながら溢れて出してきた。

『アメちゃんなんかこの大陸ごと消えちゃえっ!』

空にかざしたクリスの手からは巨大な黒くて丸い魔力の塊が火花を散らしながら現れた。あんなのをぶつけられたらヴァーンに大穴が空いてしまう。

『クリス、これで最後よ。』

あたしは一瞬でクリスの目の前まで飛んで、クリスの胸に刀を突き刺した。

『え…?う…そ…。』

クリスは消え入りそうな声でそう言って魔力の塊は静かに消えてゆき、クリスは地面に倒れ込んだ。

『クリスが…負ける…なんて…。でも…アメちゃんも…終わり…ね。』

クリスは最後に笑いながら息をひきとった。
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