雨のあとに
やっとの思いでクリスを倒した、それがあたしの何よりの願いだったはず。なのにどうして?どうしてこんなに虚しいんだろう?

きっとこれが人を殺したという事なんだと思う。どんな相手でも、どんな理由があったとしても人殺しなんて気分が良い分けないもんね。

だけど、平気。あたしは自分の手を眺めた。あたしの身体は少しずつ光の粒子となって消えている。あたしはもう直ぐこの世界から消えてしまう。

丁度良いと思った。あたしはこの世界で沢山の罪を犯してしまった。あたしはもうこれ以上この世界に居てはいられない、居たらダメなんだ。

消えてしまう事を受け入れて、目を閉じた。もうこの世界に未練はない、ないハズなのに目を閉じるとディーンの姿が浮かんでしまう。お願い、出てこないで。アナタを思い出すと、あたしは、あたしは…。

『アメーっ!!』

あたしを呼ぶ声に振り向くと、そこにはディーンの姿があった。ディーンの後ろにはお父さんやレオン達もいた。嬉しい、みんながあたしを迎えに来てくれた。だけど…

『みんな、来ないでっ!!』

あたしの大声でディーン達は足を止めた。
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