雨のあとに
みんな驚いていたけど、誰よりもディーンは驚愕していた。そしてディーンはあたしの方に振り返り、あたしに向かって叫んだ。

『セイシロウ殿の話は本当なのかっ!?アメが消えてしまうなんて…何故そのような事になったのだ?』

あたしは悲観的に訴えるディーンの顔を見ることができなかった。お父さんは、取り乱したディーンを含め、みんなに説明するように話し出した。

『雨の身体から溢れる光の粒が見えるだろ?それは雨の身体と魔力のバランスが崩れ、原子レベルで雨の身体が崩壊している証拠なんだ。私は昔、一度だけ同じ光景を目にしたことがある、間違いないだろう。』

お父さんの「間違いない」という言葉は「諦めろ」と同じ意味だと思う。全員が俯いて悲しみにふさぎ込んでいる中、ディーンだけはお父さんに掴みかかった。

『セイシロウ殿、どうにかならないのか?』

『どうにかできるものなら、とっくにやっているよ。』

『何故、簡単に諦められるのだっ!?あなたはこのままアメが消えてしまっても良いのか?』

ディーンの言葉にカッとなったお父さんは、ディーンの腕を払いのけて、逆にディーンの胸ぐらを掴んだ。

『君だけが辛いと思うな!!私も、みんなも辛いんだ。雨が消えて良い訳ないだろう。』

『ならばどうにかしろっ!!』

『なんだとっ!?』

『2人とも、もう止めて。』

あたしは掴み合うディーンとお父さんの間を割って、2人を引き離した。

『お願いだから、あたしの為にケンカしないで。あたしはもう良いの。コレで良いから。』

あたしは笑って言った。
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