雨のあとに
無理して笑うあたしの頬をエレットが軽く叩いた。

『良い訳ないだろ…。お前は僕に約束したじゃないか。僕を女らしくするんじゃなかったのか?』

エレットは我慢をしていた涙を零しながら、あたしに抱きついた。あたしはエレットの身体を抱きしめながら言った。

『エレット、前にあたしが言った事は忘れて。エレットはエレットのままが良い。あたしは今のエレットが大好きだから、きっとそのままのエレットを好きになってくれる人も沢山いるよ。』

『バカ者め…。』

そして少しずつ消えていくあたしを優しく、そして悲しく見つめるレオンとカーダを見た。

『2人とも、ごめんね?せっかく立派な王様になれるように色々教えてくれたのに結局無駄にしちゃった。』

あたしの言葉を聞いて、カーダは大粒の涙を流しながら力いっぱい首を振った。

『滅相もございません。誰が何と言おうとも、陛下は私にとって世界一の王でした。』

泣いているカーダの肩をポンと叩いて、レオンがあたしに歩み寄った。

『カーダの言うとおりです。アメは俺たちの期待以上に頑張ってくれましたよ。俺たちこそ…すみません…アメを…守れなかった。』

笑っていたレオンの瞳からも涙が流れ落ち、あたしに深く頭を下げた。そんなレオンの涙をあたしはそっと拭った。

『ありがとう、本当にありがとう。みんなが居てくれたからあたし、スッゴく幸せだった、ありがとう。』

あたしは優しくエレットから離れ、ゆっくりと立ち上がった。そしてみんなから離れて泣いているディーンに歩み寄った。
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