雨のあとに
するとメリンダさんがしがみついてきて、あたしは豊満な胸で窒息させられそうになった。

『素敵ですわ陛下、アタクシ陛下のお嫁にいこうかしら。』

『母上!』

『もう冗談よ、エレットったら。可愛い顔して怒りっぽいんだから、アラ?』

エレットと話していたメリンダさんが不思議そうにあたしを見つめだした。

『陛下、アナタもしかして。』

メリンダさんはそう言いながらいきなり胸を掴んだ。

『ヒッ!ちょっと何するんですか。』

『あなた、まさか女性?』

『そうですよ、こんな格好だから気づかないかもしれないですけど。』

あたしが女だと言ったら全員が呆然としている。

『あの、何か?』

『そんな、陛下本当なのですか?』

あたしが頷くとカーダさんはがっくりと肩を落とした。カーダさんが言うには初代国王から今まで一度も女王なんていなかったんだって。その前代未聞の問題について会議をするからと、あたしは部屋に連れて行かれてここで待っているように言われた。

まったくなんで次から次ぎへと問題が起こるんだろう。どうすれば元の世界に戻れるのかな、もしかして戻れないのかもしれない。不安に押しつぶされそうになって元に戻った鍵を強く手に握ると不思議と不安が薄れていくような気がする。あたしはベッドに倒れ込んでそのまま眠りについた。
< 23 / 201 >

この作品をシェア

pagetop