雨のあとに
学校にはお父さんを見る為に校門に集まる生徒がいる、本当にモテるよね。

『あーめ!今日も征士郎さんカッコイいわねー。』

クラスで一番仲がいい友達の稲本 沙耶(イナモト サヤ)がやって来た。

『ちょっと、人の父親を名前で呼ぶのやめてよ。』

『毎日父親と登校なんて雨のファザコンはかなりのもんよね、まぁあれだけカッコイい親なら仕方ないけどさ。』

『ファザコンじゃないもん。前にも言ったけど、あたしが付いて来られてるの。』

この話は何度説明しても信じてもらえず、学校では北浦雨=ファザコンという方程式が完成してしまっている。

『まぁまぁ、けどあのルックスでフリーなんてもったいないよね。芸能人の彼女とかいそうなのにね?』

『芸能人どころか一般の彼女もいないよ、早く恋人作ってくれないかな。』

相変わらずこの悩みはずっと解消されないな。

『とか言ってパパを独り占め出来て嬉しいんじゃないの?』

『そ、そんなことある訳ないじゃん!』

『雨のお母さんが死んだのっていつだっけ?』

『あたしが生まれてすぐだけど。』

『ということは、十五年も1人って事だよね。恋人もいなかったんでしょ?それって怪しくない?』

『怪しいって何が?』

『だから雨のお父さんは女に興味がない、つまりゲイってこと。』

『っ!?無い無い、だってお母さんと結婚したからあたしが居るんだよ。』

『わかんないよ〜?奥さんが死んでから目覚めたのかもしんないし。あっ先生がきた、じゃ後でね。』

ホームルームが始まって話は終わったけど、あたしは一日中そのことで悩まされた。
< 3 / 201 >

この作品をシェア

pagetop