雨のあとに
学校から帰ってからもソファーに座ってクッションに顔をうずめながら考えていると、お父さんが帰ってきた。

『ただいま、雨ちゃん。』

『おかえり、ご飯食べる?準備できてるよ。』

夕食は大体あたしが作ってる。お父さんは帰りが遅いし、あたしの方が早く帰っているから。ご飯を用意して食べ始めたけど、沙耶の言葉が頭から離れなかった。

『雨、ボーっとしてどうしたんだい?風邪か?』

お父さんの声で我に返った。

『ううん、違うよ大丈夫。・・・ねぇお父さん、正直に答えてね?あたしお父さんがどんな人を好きでも応援するから。お父さんって男の人が好きなの?』

聞いちゃったー!!恐る恐るお父さんを見るとキョトンとした顔をしていた。

『えーっと、雨ちゃん?どこでそういう事になったのかな?』

『今日学校で沙耶に言われたの、お父さんにずっと恋人がいないのは変だって。もしかしたら、そのう、ゲイかもって。』

ちょっと小さめの声でもじもじしながら言った。するとお父さんは大きな声で笑い出した。

『いやー、沙耶ちゃんって面白い子だね。パパは女の人が好きだし、恋人を作らないのは必要ないからだよ。』

『何で?お父さんだって恋人が欲しいでしょ?』

『いつも言っているけど、パパには雨ちゃんさえ居てくれれば何もいらないんだよ。』

そんなの嘘よ、お父さんだって男だもん。彼女が欲しくない訳ない!

ピンポーン

玄関のチャイムが鳴り、誰かが来たみたい。
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