雨のあとに
エレットの部屋に着いてノックをして中に入った。エレットは大きな窓の前に立って外を眺めている。

『何だ、女王を辞めるから別れでも告げに来たのか?』

『その逆、あたし立派な女王になる。』

『じゃあ、元の世界に戻るのは諦めたんだな。』

『ううん、それはまだ。』

『何ー!?』

エレットは怒りながら振り返って怒鳴った。

『それでは話が変わってないじゃないか、お前は覚悟を決めたんじゃないのか。』

『決めたよ、女王になってこの国を平和にするって。』

『だったら戻る必要はないじゃないか。』

訳が分からんと腕を組ながらエレットは言った。だからちゃんと説明してあげた。

『だって、お父さんに何も言わずに来ちゃったんだよ。それにこのままずっとココにいるとしてもやっぱり一言ぐらい何か言いたいじゃん。だから帰る方法は探す、でも帰るのはこの国が平和になってからだよ。』

『まったく、責任があるのか無責任なのかよく分からんヤツだな。まあいい、お前の覚悟は一応受け取ってやる。』

エレットが笑ってそう言ってくれたのは凄く嬉しかった。まるで沙耶とケンカした後に仲直りしたみたいな気持ちがする。急にエレットはあたしの手を引っ張って部屋を出た。

『ちょ、ちょっと。どこに行くの?』

『女王だったら魔術ぐらい使えないと話にならないぞ、今から練習の続きだ。』

『ウソーーーッ!?』

そのまま裏庭に連れて行かれ魔法の練習は数時間続いた。
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