雨のあとに
それからのあたしとエレットは仲良くなってよく一緒にいることが多くなった。そんなある日、あたしは何気なくノックをせずにエレットの部屋に入っていくと着替え中のエレットを見てしまった。胸があたしよりも大きく軽いショックを受けたけど、エレットはあたし以上に大きいショックを受けていた。

『アメ、みみみ見たか?』

『うん、あたしより大きいね。』

ほめ言葉のつもりだったけど、エレットは剣を引き抜いて自殺しようとしたから急いで止めた。

『やめて、やめなさい。』

『離せーっ、知られた以上生きていられない。』

『大丈夫だって、あたし知ってたから。』

『なぜ知っている?』

エレットが驚きながら聞くから焦った。レオンに聞いたなんて言えないし、とっさにデタラメな言い訳をしてしまった。

『ほら、女同士だしそりゃあ気づくよ。』

『けど侍女達は気づいていなかったぞ。』

『それは・・・ほら!あんまり一緒にいないからよ。最近あたし達一緒にいること多かったじゃない?だから気づいたんだ。』

『そうか、頼む。兄上達や他の者には黙っていてくれ。母上以外は誰も知らないんだ。』

『もちろん、でも何で男のフリしてるの?』

エレットはあたしがレオンに聞いたことを繰り返して説明した、今更知ってるなんて言えるわけない。

『・・・と言うわけだ。』

『それって前国王が原因なんだよね?もういないんだから女の子に戻っていいんじゃないかな?』

『今更女になんか戻れるか!どうしたらいいかもよく分からないんだ。』

『そんなのダメ!あたしがエレットを女の子に戻してあげる。早速作戦会議よ!お風呂に行こ。』

『なぜ風呂に入る?』

『さっきレオンとの稽古で汚れちゃったし、女の子の話し合いはお風呂の時か寝る前って決まってるの!』

『本当か!?』

修学旅行ではね。

『じゃあ準備してくるから先に行ってて。』

あたしは急いで部屋に準備しに戻った。
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