雨のあとに
急いで着替えて脱衣所から出ようとした時にエレットが来た。

『どうして混浴だって教えてくれなかったの?』

『いや、知ってるものかと。もしかして誰かいたのか?』

『ディーンが入ってた。』

『兄上が!?危ないところだった。』

自分は助かったと安堵のため息をつくエレットに半泣きで怒鳴った。

『手遅れだっての!!』

そう言い残して部屋に走った。その後部屋に閉じこもって布団の中で泣いた。しばらくして誰かが扉をノックした。

『どうぞ。』

目をこすりながら布団から出て、人と話す体制にはなった。だけど、入ってきた人物を知って顔が真っ赤になった、ディーンだった。ディーンは咳払いをして照れくさそうに話してきた。

『さっきは、なんだ悪かったな。』

『別に。お互い知らなかったんだから仕方ないじゃない。』

ハンギレで答えた。

『怒っているではないか。』

『そりゃ怒るよ、男と女じゃあ裸を見られた重さが違うの。これじゃあお嫁に行けない、もう責任取ってよね。』

あたしは後で何かおごってよ的なノリで喋ったらディーンは真顔で言った。

『分かった、貴様と婚約してやる。』

『あっそう、ありがとう。ってええ!?』

何をバカなこと言ってんだ、この男は・・・。冗談じゃないと言おうとしたら勢いよく扉が開いてメリンダさんが現れた。

『ンマー、なんて素敵なんでしょ。アタクシのディーンと陛下が婚約されたわ。おめでとうございます陛下、ディーンは顔は怖いけど、優しい子なんです。きっと幸せになりますわよ!ああ、早くみんなに教えないと。では後ほど、失礼しますわ。』

メリンダさんは一言も話す間もなく消えてしまった。

『ディーン、大変。メリンダさんを止めないと本当に婚約したことになっちゃう。』

『しただろう、貴様が責任を取れと言ったのではないか。』

あれは言葉のアヤだって。何でこうなるかな、あたしは急いでメリンダさんを追いかけた。
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