雨のあとに
それから町の中央にある初代国王の石像を奉った祭壇で戴冠式が行われた。

儀式には巫女のルピアさんが来ていて、ルピアさんにはその時初めて会った。ルピアさんの見かけは20代前半ぐらいで綺麗な人なんだけど、なんか近寄りがたい不思議なオーラみたいのが出てる。

儀式は簡単でルピアさんが先に祭壇に上がって難しい言葉を言った後、あたしが祭壇に上がって鍵を剣に変えて何か誓いを言う。その誓いに決まった言葉はなくて、自分がこうしたいと思うことを言えばいいとルピアさんに言われた。ちなみに前国王の誓いは「世界征服」。

『あたしはまだまだ子供でみんなからしたら頼りない国王かもしれないけど、きっとこの国を争いのない平和な国にしたいです。だからみんなあたしを助けてください、そしてみんなはあたしが守ります。だからあたしは何があってもみんなを守ることを誓います!』

とにかくその時自分が感じたこと、思ったことを口に出してみた。うまく言えたか不安だったけど、みんな大きな拍手であたしを国王として迎えてくれた。

祭壇を降りてもまだ緊張して、心臓がバクバクしてる。すると近くにいたカーダが泣きながら褒めてくれた。

『陛下、素晴らしい演説でした。私は感動して涙やら鼻水やらもう色んなモノが止まりません!』

『ありがとう、でも鼻水は止めてね。レオン、どうだった?』

カーダの隣りにいたレオンにも聞いてみた。

『俺に聞かなくても民の反応を見れば分かるだろ?良かったよ。』

『まあまあだな、僕に相談すればもっと良いスピーチを考えてやったのに。』

『なかなかだった。』

近くにいたエレットとディーンも一応褒めてくれたみたいだ。
< 45 / 201 >

この作品をシェア

pagetop