雨のあとに
今日は夜中までパーティーをしてあたしを祝ってくれた。だけど、貴族の人たちみんなに挨拶をしたりして疲れちゃった。最後には婚約者のディーンとダンスを披露することになってしまった。

『ディーン、あたしダンスなんて得意じゃないから踊れないよ。』

ダンスの経験なんて昔お父さんと踊ったぐらいなのに、こんな大勢の前でなんて無理だよ。ディーンは恥ずかしがるあたしの手を強引に引っぱってホールの真ん中に連れ出して踊り始めた。

『ちょっと、できないって言ったでしょ。』

小声で囁くとディーンは耳元で囁いた。

『黙って力を抜け、私がリードするからそれに続けば良い。』

言われた通りディーンに身を任せると、それなりに踊れる。なんか楽しいかも、ううんスッゴい楽しい。あたしは夢中でダンスを楽しんだ、すると音楽の雰囲気が変わった。ディーンはあたしの肩と腰に手を当て密着してきた。

『ちょっと・・・』

『チークタイムだ、こうやって揺れていればなんとか見える。』

たしかに周りの人も体をくっつけて踊ってる。ディーンは無口だから黙って踊り続けたんだけど、なんかディーンってダンスも上手いし意外と優しいし顔も良いなって考えながらディーンの顔を見た。本当に整った顔よね目元とかにコジワがあるけど、それがまたセクシー・・・ってナニ考えてんのあたし!?
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