雨のあとに
それからマサルドリアの事はメリンダさんに任せて、あたしは魔族の3兄弟を引き連れ鬼退治・・・じゃなくて人間の説得の為にマサルドリアの南端にある港町クルブケラに来ていた。カーダはメリンダさんの手伝い(めんどくさい事全部)する為にお城に残されてしまった。

クルブケラは港町で、ここからしかハルクに行けないんだ。それから3日ほど海を渡って、ハルク領土に到着した。港にはハルクの領主であるロゼルス・マリクレールさんが迎えを用意してくれて、馬車でハルクに向かった。ハルクにつく間にレオン達からロゼルスさんの話を聞いた。ロゼルスさんは初代国王の兄弟の血を引く魔族でずっとこの国を守っている家系なんだって。ロゼルスさんはなんと人間の女性と結婚をしていて、魔族と人間の調和を望んでいるらしいんだけど他の貴族からは人間びいきと嫌われているらしい。

ハルクに着いた。ここはマサルドリアと違ってにぎやかな感じじゃないけど、のどかで落ち着いた空気がする気持ちのいい場所だった。ロゼルスさんの屋敷は町から少し離れた場所に建っている。屋敷に入ると広い部屋に案内されて長いテーブルに並んで座った。しばらくして栗色の髪をした気品のある男性と淡い金髪に白い肌が目立つ女性が現れた、この人がロゼルスさんと奥さんのミーティアさんだ。

『陛下、遠い所まで来ていただいてありがとうございます。私がハルク領主のロゼルス・マリクレールです、こっちは妻のミーティア。お会いにできる日を心待ちにしていました。戴冠式には顔を出せずに申し訳ありません。』

『いえ、急なことだったんで気にしないで下さい。一応あたしが国王の北浦雨です、よろしくお願いします。』

あたしは挨拶をしながらロゼルスさんと握手をした。
< 51 / 201 >

この作品をシェア

pagetop