雨のあとに
フルジマには馬で3時間程で着いたけど、ハルクとフルジマの間には高い山脈があってそれが国境線になっている。

フルジマには山脈の洞窟を通って行かないといけないんだけど、洞窟内は一本道になっているからどうしても出口の関所に引っかかってしまう。

あたし達は怪しまれない為に旅の商人になって、フルジマに入国することにした。初めは少し疑われていたけど、レオンが色々作り話をしてなんとか通ることができた。けど通る時に関所の人に気になる事を言われた。

『商売かなにか知らないけど、この国で奇病が流行っているらしいから早く出て行った方がいいぞ。』

奇病・・・その言葉に嫌な予感を感じた。小さな不安を抱えていたけど、どうにか無事にフルジマにこれた。

だけど、街の様子をみて小さな不安は大きな恐怖に変わってしまった。まだ夕方なのに人が1人もいない。これじゃあ、まるでゴーストタウンじゃない。

不気味な雰囲気を振り払って、とにかく街のことを調べようというディーン提案に全員が賛成した。

さすがに人間の国で長居は危険だと考え、短時間で情報収集するためにあたし達は二手に分かれて街を探索することとなった。

あたしはディーンと一緒に街を散策していると、前の方から10才くらいの男の子が槍を持った兵士達に追いかけられて来た。男の子はあたしの目の前で転んで泣きながら周りに助けを求めてきた。

『助けて!!』

男の子の叫び声を聞いてただ事じゃないと思って、あたしは男の子を抱き起こしながら言った。

『何があったか知らないけど、子供にそんなもの向けないでよ!』

兵士達はざわめき出して、あたしにも槍を向けた。

『そいつは奇病にかかっている、触ったら伝染しちまうんだ。』
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