雨のあとに
『お父さん、あたしも行きたい。今年はいいでしょ?』

『ダメだ、パーティーは夜中まであるしお前には早すぎる。』

ほらね、けど引き下がってなるもんですか!

『あたしもう15歳よ、もう子供じゃないもん。』

『いいじゃない兄さん、あたしも雨ちゃんぐらいの年には行ってたわよ。』

静さんが味方してくれた。

『お前と雨は違う、ダメなものはダメだ。』

静さんが味方してくれてもダメか、こうなったらこの手は使いたくなかったけど。

『あーあ、パーティーに行ったらパパとダンスしたかったのにな。』

お父さんはあたしの言葉に見事に反応して、静さんはお父さんの後ろでナイスのポーズをとっていた。

『本当かい?雨はパパと踊りたいのか?』

『もちろん、だってパパ大好きだもん。』

最後のとどめの一言。お父さんは悩みに悩んだ結果OKしてくれた。

『ただし!パーティーの間はパパから離れるんじゃないぞ?』

やったー、念願の船上ダンスパーティーだ!小さい頃からずっと行きたかったダンスパーティー。

『あ!でもパーティーってどんな格好で行ったらいいの?あたしドレスなんて持ってない。』

『だったらパーティーの前に買って、パーティーにはあたしと一緒に行きましょ。ついでに美容院に行ってもっと可愛くしなくちゃ!』

『本当!?ありがとう静さん。』

あたしと静さんがはしゃぎながらドレスやパーティーの話で盛り上がっている横でお父さんは不安そうな顔をしている。ごめんね、でもこれはお父さんの恋人探しでもあるんだからね。
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