雨のあとに
パーティー当日、昼過ぎに静さんが家に迎えに来てくれて静さんの車で買い物に出掛けた。あたしは直ぐに終わると思ってたんだけど、静さんが選んだ色んな服を試着させられた。服を選んだ後美容院に行ったら静さんに色々指示されてしまった。

『雨ちゃんの黒いショートヘアーも可愛いけど、ドレスにはロングが一番似合うのよ。だからこのブラウンロングのカツラを付けてみない?そうしましょう!』

静さんの命令には逆らえなかった。でも、鏡に映るあたしはとても自分とは思えないほど綺麗に変身していた。

『んまー!!綺麗よ雨ちゃん。パーティーじゃあ注目の的よ。兄さんもきっと驚くわよ?あら、早くしないと兄さんとの待ち合わせに遅れちゃう。急ぐわよ!』

強引に腕を引っ張られ車に乗せられて、静さんの荒々しい運転でパーティー会場の船がある港に急いだ。お父さんは船の前であたし達を待ってるんだって。

『静さん、もっとスピード落として。』

『何言ってんの、これぐらい出さなきゃ遅れちゃうわよ。遅刻なんかしたら兄さんに叱られる。』

『けど、その前に死んじゃう!』

静さんは大丈夫って言ったけど、車に4回ぶつかりそうだったし2回人をひきそうになった。

あたしはなんとか死なずに静さんも誰も殺さず無事に船に来れた。もう夕日も沈みかけていて海が綺麗だったけど、パーティー会場の船もとても大きくてたくさんのライトが綺麗。入り口に向かうとお父さんが手を振って迎えてくれた。

『雨とても綺麗だよ、その髪はカツラかい?とても似合うよ、ドレスもね。』

『ありがとう、お父さんもそのタキシードとても似合ってる。』
< 7 / 201 >

この作品をシェア

pagetop