雨のあとに
ディーンの部屋に連れてこられて、あたしの腕を離したと思ったら今度は睨みつけてきた。

『な、何よ?怖い顔しちゃって。』

『貴様は何を考えている?シルバーは裏切り者だと知っているだろう。それを2人だけでいるとは、無防備過ぎではないのか。』

『シーバーは危険な人じゃないわ。それに裏切り者って言ったってただ人間と結婚しただけでしょ。それのどこが悪いの?ロゼルスさんと同じじゃない。』

『同じではない、奴は戦いを放棄して人間と逃げ出したのだ。』

『それのどこが悪いの?戦って死ぬより好きな人と生きる方がずっと素敵だわ。』

『奴は隊長でありながら隊を捨てて逃げた。その為に多くの犠牲者が出たのだ。それでも悪くないと言えるのか?』

『それは・・・』

わからない。ディーンの言うこともわかる、でもシーバーの気持ちもわかるよ。どっちが正しいなんてあたしに決められるわけない。だけど・・・だけど!

『シーバーだって悪い所があるかもしれない。だけど、許してもらえないの?あんなに苦しい思いをして一人ぼっちになってもマサルドリアには帰ってこれないの?・・・お願い、シーバーを許してあげて。』

あたしは涙をこぼしながら頼んだ。

『どうしてそこまで必死になる。奴のことが・・・シルバーが好きなのか?』

あまりにも唐突な質問に驚いて涙も止まった。

『はぁ!?どうしてそんな話になるの?てゆうか好きとか嫌いとかの問題じゃないし。』

『なら何故そこまで必死にシルバーをここに置きたがるのだ?』

呆れた、話になんない。

『もういい、あたしの気持ちなんか全然分かってないのね。ディーンなんか知らない!』

あたしは部屋から出て行ってパーティーに戻った。あたしがシーバーのことが好きだから許して欲しいと思ってたなんて。あ〜ムカつく!あたしがどんな思いでマサルドリアに帰って来たと思ってんの?あたしのイライラが治まることなくパーティーは御開きとなった。
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