雨のあとに
本当に今日のお父さんはカッコイい、ちょっとドキドキしちゃう。お父さんはあたしに腕を差し出して、あたしはその腕に手を当ててお父さんにエスコートされながら船の中に入った。

船の中はとても豪華で、中にいるだけで自分が特別な存在になったような気がした。静さんは知り合いを見つけて直ぐに場にとけ込んだけど、あたしは自分が場違いな気がして俯いているとお父さんが声を掛けてきた。

『雨はいつも可愛いけど、今日は特にに素敵だよ。全然おかしくないから自信を持ちなさい。』

嬉しかった、綺麗だと言ってくれたことよりあたしの気持ちに気付いてくれたことがとても嬉しかった。まだ少し緊張するけど、楽しめる気分になれた。

それからお父さんの知り合いやあたしも会ったこともある人に挨拶をしたり、豪華な料理を食べたりして心から楽しんだ。お父さんは沢山の人に挨拶をされていて忙しそう、改めてお父さんは凄い人だと思った。仕事関係の話をしているお父さんの顔は家にいる時とは顔つきが全く違って、キリッとしているっていうかとにかく素敵でまたドキドキしてしまう。今日のあたしは変だ、お父さん相手にドキドキするなんて。

しばらくして、綺麗な女の人がお父さんに近づいて来た。

『北浦さんお久しぶりです、覚えて頂けていますでしょうか？』

『これは星川さんのお嬢さん、お久しぶりです。去年のお誕生日にお会いして以来でしたね。』

『お嬢さんなんて止めてください、私はもう２５ですよ。』

お父さんは笑いながら謝り、２人は楽しそうに話出した。２５歳か、お父さんは３８歳だから少し離れているけどとても綺麗な人だし、なによりお父さんはこの人と話してる時楽しそう。この人ならお父さんの恋人にぴったりかもしれない。そう思ったら自分の中に妙な感情を感じた。
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