雨のあとに
第4の扉〜もう一人の自分〜
マサルドリアに帰ってきてから数週間がたった。いつもの平和な日々が続いて、毎日が楽しい。

フルジマと同盟を結んだおかげで人間との関係も良くなって、他の国からも同盟を結びだいと頼まれたりして女王としての仕事も大変になってきた。

けど、婚約者のディーンはもちろんカーダやレオンやエレットもたくさんの人が助けてくれるからなんとかやってます。

最近よく変な夢を見る。あの暗い部屋の夢、夢の中のあたしはいつも恐怖を感じて、部屋に閉じ込められてる。

たまに黒いコートを着た人たちが来て部屋から出してくれるけど、一番それが怖かった。だって出された時はいつだって誰かを殺さなきゃならない、そうしないとあたしが殺されるから。

誰かを殺すたびに鍵の力が強くなるのを感じる。夢の中のあたしが持っている鍵は王の鍵とよく似ている。鍵に付いている宝石の色があたしのは赤だけど夢の中のは青い、それ以外はまったく一緒だ。

鍵が剣になるのも一緒、夢の中の鍵は真っ白なキレイな剣になる。その剣でもう三人も殺してしまった、怖くて辛くてどうしようもなくて泣き続けるあたしの隣で黒いコートの人は笑って言うの。

『もう少しだ。』

夢のことは誰にも言えなかった、ただの夢だって気にしないようにしてたから。だけど、気にせずにはいられない事態が起こった。事件はカーダが知らせてくれた。

『陛下、大変です。民が次々に殺されていると報告されています。』

『そんな・・・、犯人はわかってるの?』

『それが・・・犯人は双黒だということなのです。』

『え?ウソ・・・まさか。ねぇ、殺された人ってどんな人?』

『え、はい。たしか写真があったと思います、こちらです。』

カーダから受け取った写真を見て手が震えた。そこには夢の中で殺した人たちが写っていた。

あれは夢じゃなかった。じゃあこの人たちを殺したのは・・・あたし?ショックで気を失ってしまった。気づいた時には部屋に運ばれてベッドの上で横になっていた。
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