雨のあとに
すぐにシーバーを起こして夢のことを大雑把に説明した。

『・・・というわけでトルパギに一番近い時計塔のある街に連れて行って!』

『ハア、しかしにわかに信じ難い話ですね。』

『ホントなんだってば!おかしいと思うかもしれないけど、早くしないとレインがまた誰かを殺しちゃうの。』

『分かりました、すぐに出発しましょう。』

朝食を食べずに村を出て、トルパギの南東にある時計塔のある街ブシルバに向かった。馬をとばして休まずに走ったから昼過ぎにはブシルバに到着することができた。

あたし達はすぐに緑色の髪の女の人を探したが、子供からお年寄りまで六人の人が該当した。その中で誰が狙われるか考えると、今まで殺された人と同じぐらいの年齢の人に的を絞って見張ることが良いというシーバーの意見に従って見張り続けた。

それから黒髪の女の子と黒いコートの人も探しながら見張り始めてから数時間が経過した。日も沈みだし、緑色の髪の女性は自宅に帰って食事を始めた。あたし達は向かい側の建物の屋根から女性を見張っている。

『お腹すいた〜、レインも全然来ないしやっぱりただの夢だったのかな。』

『そう気を落とさずに、今日現れると決まっていたわけじゃないではありませんか。』

『そうだった、いつ来るかは聞いてなかったんだ。ちゃんと聞いてから目を覚ませば良かった。』

頑張ってとシーバー微笑んだ時、妙な気配を感じた。何コレ?誰かを近くに感じる、この気配は・・・レイン?

『ねぇ、シーバー・・・』

『お静かに、何者かが彼女の家に近づいています。』

すぐにシーバーが指差す先を見ると、二つの人影があった。
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