異界見聞録
異界からの訪問者
…なに、此処ぉおおお!!!
半泣き状態であたふたするも、状況は変わらない…
そもそも私は、お気に入りのヒヨコ柄パジャマを着て某テーマパークのネズミが居そうな夢の国へ行こうと眠りについたのに…
なのに!
なんで和が素晴らしい座敷に居るのよぉおおお!
「おい、女…。」
「うひぃいっ!」
頭を抱え、うんうん唸っていると背後から声がし奇声を上げてしまった。
「…驚かせてすまない。お前…何者だ。なぜ私の座敷に居る。」
「っ!こ、これは不法侵入では無くてで…す、ね?」
ばっ、と後ろを振り返り言葉を失う。
真っ赤だ…
白い肌に映える、綺麗な深紅の髪と瞳に息を飲む。
「綺麗な目…。」
「っ!!なん…だと?私の色が綺麗と言うたのか…女。」
空気が変わる。
ピリピリとした緊張感が肌を刺す。
「っえ?あ…ご、ごめんなさい。わ、私…赤が好きで、それで…アナタの目とか髪が綺麗だったから…つい。」
「…綺麗。」
気まずい!
誰だか分かんないけど、じっと見つめないで下さい!
「…名、名はなんと言う。」
「ふぇ!あ、伏見、伏見麻由です。」
「麻由…。私は焔だ。」
「焔さん。」
「さんなどいらぬ。」
あう!この人怖いよ〜!
焔は、麻由をじっと見つめ深刻そうな表情を浮かべた。
「時に麻由…そなたは人間か?」
「………………………はい?」
え?私は人以外に見えるのかな?
え?私ってそんな変なの?
「恐らく…ここは麻由の居た世界ではない。」
「う……そ。」
突然突きつけられた事実に意識が飛びそうだ。
現実を受け入れたくないのか、これは夢だと思いたくなる。
「ここは神鬼の領地。『鏡霊国(きょうれいこく)』だ。」
そう淡々と告げられた言葉を最後に私の意識は途切れた…。
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