ひとり<ふたり
無言で帰った家では誰もいなかった。



お母さんからの置き手紙がある。



『鈴木さんとカラオケに行って来ます。チンして食べてね』



ご飯は作られてた。



葵は塾の夏期講習。



着替えに行こうとした瞬間、リンに腕を掴まれてリンの部屋に押し込まれた。



敷きっぱなしの布団の上にドサッと…。



「俺から逃げんの?」

「逃げないってば。心配しすぎ!!」

「だったら俺の前で他のヤツを褒めんな…。マジ妬く…」



息もできないようなキス…。



リンって独占欲が強い…。



苦しいっ…。



「リっ…」

「全部俺のものにしたい…」

「えっ?」

「毎日一緒にいて我慢してねぇわけねぇだろ…」

「い、今っ!?」

「全部ちょうだい?」



ヤキモチ妬いた勢いでなんてイヤ…。



後悔しそう…。



「ヤダ…」

「ってか冗談だし」

「はぁ!?」

「本気にしちゃった系?」

「殺すっ!!」

「いっ!!お前っ…」



リンなんて知らない!!



バーカ!!



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