ひとり<ふたり
白は二つ返事でOKだった。



もちろん紅はOKで、叶は少し揉めたらしい…。



マキの家は放任だから適当返事。



残されたのは俺だけ。



事情を話したら岩瀬さんがついてきて説明してくれると言ったけどさすがに断った。



俺、ひとりで行くから。



これは俺の戦い…。



少しは壁を取り払ってみたい…。



久しぶりに来た家は何も変わってなかった。



重い玄関のドアを開けると使用人たちが挨拶してくる。




俺が誰だかわかってないくせに…。



パタパタと走ってきたのは赤ちゃんの時に会ったきりの俺の妹…。



「お兄ちゃん誰?」

「誰…だろうね?お父さんいるかな?」

「うん、書斎にいるから邪魔しちゃダメだって~。つまんないの~」



カワイイな、妹…。



でも俺は一緒には住めないんだよ…。



きっと俺が兄だって名乗ることすら義母は嫌がるだろう…。



< 263 / 516 >

この作品をシェア

pagetop