ひとり<ふたり
なんで…自分でここに来たんだろう…。



「なんだか…もう会えないような…気がしたんです…」

「…………」

「これにサイン貰ったら…俺はもうきっと父さんとは連絡もとらない…」

「そうか…。わかった…」



スラスラと親の承諾の欄に名前が書き込まれてる…。



近くにあった印鑑を押したら終わりだ…。



「ほら、サインしたぞ」

「ありがとうございます。父さん…俺が嫌いなの?」



自分でもびっくりした。



そんなこと怖くて聞けるはずがないと思ってたのに…。



聞きたくても今まで聞けなかったこと…。



どうして今こんな言葉が口から出たんだろう…。



「どうして…俺をひとりにしたの?そんなにいらない子だったら…そう言って捨ててしまえばよかったのに…」

「嫌い…じゃない…。嫌いなんかじゃない…」



俺に背を向けて話す父さんの声が震えてた…。



ミズキがいなくなってからだいぶ経った。



そろそろ俺もケジメをつけたい…。



「林太郎、お前って頭いいんだってな?」

「いいですよ…。いつ会社を継げといわれるかわからないから…勉強だけは…」

「運動もできるみたいだしな…。歌もうまいのか…」

「それに俺…モテますから…」

「何も…知らない…」


泣いてる?



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