ひとり<ふたり
無言で俯くヒメにジュースを渡すと涙の溜まる目をこっちに向けた。



「ウソなんでしょ?子供の話し」

「うん、ごめんなさい…。でもできたのは本当。リン先輩の子じゃなかったけど…」



チクチク心は痛んだ。



でもね、ヒメを幸せにしてあげるのは俺じゃないから…。



「傷舐め合ってたって成長できないんだよ、ヒメ。確かにヒメといる時は近い境遇で気持ちも理解し合えて…。でもふたりでなにかしたかって考えると…」

「してないよ。先輩とあたしはただ一緒にいただけ。またそばにいてくれたら楽になれるのになって…思って…」



泣きながら話してくれた今の心境。



親が離婚してから孤独らしい…。



元カレの子を身篭った時も親は無関心だったみたいで…。



「昔は先輩といれたから幸せだったんだけどな~とか考え出すと…」

「ヒメにもいいヤツがきっと現れる。友達だっているんじゃないの?」



しばらく慰めてた。



昔の俺にはきっと出来なかったこと…。




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