ひとり<ふたり
あたしは誤解してたのかもしれない。



いや、周りの人、みんながリンのことは遊び人だと思ってる。



みんなのリンになったのにはなんか理由があるんだと思った。



そのままリンと夕方まで昼寝して、起きても体制は変わらず、リンがあたしに抱きついてる状態だった。



「リン、起きたら?」

「紅はいいね…」

「何が?」

「こうしてるだけで満たされる…」



何が本当にリンなのかわからなくなる。



もっと『香山 林太郎』とい男を知りたくなる…。



あたしがリンのそばにいたらリンはどこにも行かないの?



あたしだけ愛してくれたりする?



「リンって本気で恋愛したことある?」

「ない。俺はこれからも誰にも愛されないから誰も好きにならない…」

「リンのこと好きな人なんていっぱいいるじゃん」

「うわべだけね」

「あたしが愛してあげようか」

「は?」



何言ってるんだか自分でもわからなくなった。



でもリンを助けてあげたいと思う心が強いことは確か。



あたしが愛してあげたらリンは少し楽になれるんじゃないかと思ってしまったから。



「紅に愛してもらえるなんて光栄だね~。俺のために泣いてよ」

「好きになったらいくらでも泣くよ」

「キスしていい?」



断る理由もなかった。



あたし、リンを好きになる気がした。



だってリンの心の奥まで知りたいと思っちゃったもん。




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