ひとり<ふたり
夜は葵の作ったご飯を食べて満足したようなリン。



このままじゃ葵が有利だ…。



「リン、映画見たくない?明日休みだし」

「借りてくれば?」

「リンも一緒に行くの!!」

「葵、一緒にいくよ。女の子一人にできないからね~」



『リン君やさしい!!』なんて葵が言ってる…。



あたしはリンとふたりになりたかったのに…。



でも空き巣が多発してるから仕方ない…。



しかもリンはさりげなく手をつないでくれた。



「あたしも彼氏ほしい~…」

「叶ならフリーだよ~」

「カナ君軽そうなんだもん。リン君も軽い気はするけど」

「俺は姉ちゃん一筋だけど?」



あたしの片思いだとわかってて言ってるそのリンの根性の悪さ。



憎たらしいけど『好き』はやめられない。



しかもついさっき好きだって気づいたのに…。



「俺と手繋げてぶっちゃけ嬉しい?」

「離してもいいです。ナルシスト」

「だって俺モテんだもん!!」

「わかってますよ~」



本当は離したくないけど…。



でも恥ずかしいから言わない。



リンのペースに引き込まれないようにしなきゃ…。






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