ひとり<ふたり
それだけで母さんに求められてるような気がして嬉しかった。



「今…幸せ?」



母さんの口からそんなことを聞かれるなんて…。



思ってなかったな…。



「幸せですよ。俺は大丈夫です。彼女のおかげですけどね」

「そう、よかったわ」

「母さんも幸せになってください」



もう満足した。



会いに来るタイミングがよかっただけかもしれない。



だけどこれで俺は救われた。



もう寂しくない。



母屋の方に行くとおばあちゃんとお茶を飲んでる紅がいた。



「リンっ!!」

「待った?」

「よかったぁ~…」



俺の顔で悟ってくれたみたいだ。



もう平気だから。



これからは俺が紅を守る番だよね?



「林太郎、せっかくだから泊まって行ったら…」

「それは遠慮します!!また来ますから…母さんをヨロシクお願いします」



頭を下げたら撫でられた。



懐かしい手の感覚…。



「なにもしてあげられなくてすまないね…」

「いいんです。元気でいてくれたら…」



それだけでいい。



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