ひとり<ふたり
初めての遭難を体験してるあたしとリン。



これは尋常じゃなく、ヤバい状況。



携帯は相変わらず繋がらないし、ここがどこなのか全くわからない。



助けを呼ぶにも呼べないし、本当に困ったさんです。



「もしこのままでも俺はいいけど」

「なんで!?一緒に死ぬの!?」

「だからさ、なんで死ぬことばっかり考えてんの?」

「へっ?」

「俺はここで紅とおじいちゃんになってもいい覚悟だって意味!!もう…とにかく落ち着け」



ギュッと抱きしめられた。



うわっ…。


すごく安心する…。



リンがここにいて、あたしも一緒…。



何も怖くないよ…ね?



「今日のリン、マジでイイとこ取り」

「俺だって紅のこと守るために必死ですから」

「ありがと…」

「じゃ、これ食べよ?」



あたしのバッグに入ってたチョコのお菓子を分け合って食べた。



今まで普通に食べてたのに、今日はとてつもなくおいしく感じる…。



チョコがこんなに甘いってことも、なんだか忘れてたかもしれない。



リンがいてよかったと心から思ってるよ…。



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