ひとり<ふたり
次の日、腫れた目を冷やそうとリビングを通り掛かった時、リンの声が聞こえた。



「おかわり!!」

「もう来ないのかと思って心配したわよ、リンチャン」

「ただのケンカだから。それよりオバサン、ミートソースってどうやって作んの?」



なんで普通でいられるの!?



あたしはあんなに苦しかったのに!!



リンはあたしの気持ちとか無視?



「うわっ、ひどい顔」

「ムカつくんだよバーカ!!死ねっ!!」

「いてぇっ!!すぐ殴るなよ!!」



なんでこんなヤツのことなんか好きになっちゃったの!?



あたしって実は大バカ?



もう最悪…。



化粧をしに戻った部屋ではリンがいた。



ベッドに座って雑誌見てる…。



「昨日誰か…」



呼んだの?



そう聞こうとした時に見つけてしまったシャツに隠れるくらいのキスマーク…。



確実に誰かを呼んだらしい。



リンはあたしのことなんか1ミリも好きじゃない…。



『セックスしなくてもそばにいてくれる相手』



都合のいい女…。



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