ひとり<ふたり
目が合ったリンの冷たい表情。



胸が痛くなる…。



「最低だとか思ってんなら俺がどんなヤツかよく考えてみな」

「えっ?」

「前、自分で言ったよな?俺を美化すんなって。いちばん美化してんのは紅なんじゃねぇの?」



あたしはただ…。



違う、あたしだけリンの『特別』になれたような気がしてた。



思い上がって勝手に期待したのはあたし…。



勝手に傷付いたのもあたし…。



リンはあたしのことなんか好きじゃないってわかってるのに…。



「ですよね!!ごめんね…」

「そんなになるまで泣いたの?」

「ちょっ…」

「そんなに俺のことが好き?」

「リンっ…」

「目の前で泣いてほしかったな…」



好きじゃないなら抱きしめたりしないでよ…。



期待させないで…。



「キスは?」

「イヤ…」

「じゃあもう一生しねぇ」

「するっ!!」



なんでこんなワガママなヤツに惚れてしまったんだろ…。



こんなに傷つくなら柴君にフラれたままでよかった…。



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