ひとり<ふたり
俺には親なんていない…。



あんな親ならもういらない…。



「苦労…してるんだな…」

「どうですかね?それは人それぞれの価値観ですから…」

「今日は好きなだけここにいなさい」

「やった!!じゃ、泊まりま~す。ちなみにオジサンと寝てもいいっすよ?」

「と、泊まるって…」



気づけば紅の姿がなかった。



どこに行ったんだ?



「リン君、紅どこに行ったのかしら?」

「俺見てきますね~」



紅の部屋に行ってみた。



真っ暗な部屋で泣いてる?



どうしたんだ?



「紅?」

「なんでもない!!」

「じゃあなんで泣くの?」

「リンが…自分のこと話してくれたのが嬉しくて…」

「なにそれ?気になるなら聞けばいいじゃん」



泣きながらしがみつかれた。



聞かれたとこでなんて説明したらいいのかわからないけど…。



「あたし、リンのこと傷つけたりしてない?」

「別にしてないけど…。ってか俺が紅のこと傷つけてんじゃん」

「あたしなんかどうでもいいもん!!リンが抱えてるものはあたしなんか想像もできないんだろうと思うから…」



俺のために泣いてんの?



間近で泣かれるとこんなにもキュンとくるのか…。



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