双子は魔法使い!?
「あたしたちがいなくなっても、ママは悲しまないんでしょ!」

叫んで未来が言ったかと思ったら、姿を消した。

「未来…!」

止めようとしたが、時すでに遅し。

おふくろは凍った表情で固まっている。

おふくろのことも心配だったけど、先に未来を探さなければ。

行き先は、もちろんわかっている。

マンションの屋上の隅っこで、小さな背中が震えていた。

「未来」

その背中に向かって、俺は声をかけた。

気づいたと言うように、未来が俺の方に振り返った。

「――きてたんだ…」

呟くように言った未来に、
「ここにくるって思ったから。

弟が姉のことをわからなくて、どうする?」

俺はぶっきらぼうに言った。
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