願いはひとつだけ…
朝、何時も以上に声を張って笑顔で声を掛ける

「翔梧せんせっ!
おはよう!」

「…おはようございます
多田さん」

振り向きもせず言う。


横に並んで少し顔を覗きこむと、先生は、瞳だけをこちらにチラッと向け
直ぐに戻して

「多田さん、いい加減翔梧先生はやめてもらえませんか」

「翔梧先生、いい加減多田さんはやめてもらえませんか」

透かさず私が口調を真似て言うと、何時ものように先生が言う台詞をハモってみる

「「全く、あなたって人は…」」


先生は少し驚いた表情を見せ、次の瞬間、ほんの少しだけ目元と口元を緩ませた。


笑って…くれた?

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