願いはひとつだけ…
「急に、どうしたんですか?」

振り向いた先生は無表情だった。


私はゴクリと唾を飲み
握っていた手に力を入れた

「先生の奥さんの話、
聞きました…」


すると、先生の顔が見る見る強張っていくのが分かった

かと思ったら急に口角を上げ、クッと笑い

「それで?
俺が可哀相だって?
不幸に見えるからそんな質問したわけ?」

先生の顔は、怒っているような、哀しそうな…、

口調は、酷く冷たいものだった。

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