願いはひとつだけ…
寒いはずなのに握り締めた手が、じんわりと汗ばんでくるのを感じていた

「そんな、つもりじゃ…

私は、ただ…昔の先生に戻って欲しくて…
笑顔…見たくて…

なんでもいいから力になれればって…」

目頭が熱くなって、喉の奥が詰まって上手く声が出てこなくて、
それでも何とか口にした言葉だったのに…


「力になりたい?
お前みたいなガキに何が出来る?
俺の何が分かるって言うんだよ…

昔の俺はもう何処にもいない

頼むからほっといてくれないか!?」

私の想いは、いとも簡単に拒絶された。

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