願いはひとつだけ…
ゆっくり体を起こし、
はだけた前をギュッと握り締めながら、先生を見ると、
うずくまり、肩を震わせていた。

「先生…」

思わず手を伸ばそうとすると

「触るな!帰れ!」

先生の大きな声にビクリと身体が跳ね、伸ばしかけた手を引っ込めて
慌てて帰り支度をし、
教室を出ようとドアに手をかけた私の背中に

「すまない…」

囁くような先生の声が届いた。

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