願いはひとつだけ…
中身は、グレーの手編みの手袋

渡すことはないと思いながら、三年前に編んで
想いと共に、ずっと机の中に仕舞ってあったものだった。

「スゲー」と感動してくれて、直ぐに手にはめようとした先生の左手薬指に指輪がないことに気が付いた

「先生、指輪!」

驚く私に

「ああ、もう無くても大丈夫だから」

しっかり前を見つめて言うと、ニッコリ微笑んだ。

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