午前0時の誘惑
「そんなの変。私のことは知りたがるくせに」
「それは、莉良のことが好きだから」
「それなら私だって――」
言い掛けた私の言葉は、簡単に海生の唇にかき消されてしまった。
包み込むように重ねられる口づけで、いつだって何だって、海生の思うままになる。
海生はそれを知っているから。
触れてしまえば、その手に簡単に陥落してしまう私の操縦法を心得ているから。
それで誤魔化されてしまう私を、海生はやっぱり「都合のいい女」だと思ってしまうんだろう。
そして、私はその称号を受け入れることしか、結局はできないんだ。