午前0時の誘惑
「え?」
今、なんて……?
帰らないからって言ったの?
聞き返した私に海生が困ったように微笑みかける。
「こんな莉良を置いて帰れない」
「……ほんとに?」
私は肘を突いて上半身を少しだけ起こした。
「ああ」
海生が甘く低い声で囁く。
「朝まで?」
頷く代わりに唇が塞がれた。
いつもより少しだけ熱を感じる口づけに、身体が痺れていく。
午前0時を過ぎれば、魔法が解けてすべて跡形もなく消えてしまうのかもしれない。
そう思っていた海生に抱き締められて、身体が熱くなった。