午前0時の誘惑
◇◇◇
「眠れないのか?」
いつまでも寝息の聞こえない私の顔を、海生が覗き込む。
違うのに。
そうじゃないのに。
海生と過ごす時間が惜しいから、眠りたくないだけ。
「海生は? 寝ないの?」
「莉良が眠るまではね」
私が眠ったら……帰るなんてこと、言わないよね?
朝目覚めたら、海生がいないなんてこと……。
「心配するな。朝まで一緒だと約束しただろ?」
「……うん」
「安心して眠るといい」
その言葉がまるで催眠の暗示のように、途端に眠りへと落ちていった。