午前0時の誘惑

普段の私とは違う、別世界に迷い込んでしまったようだった。


泡で満たされたバスタブに身を沈め、うしろから海生の腕に抱かれると、夢か現かさえわからなくなっていく。

夢ならば、永遠に覚めない魔法をかけてほしい。
現ならば、この瞬間を切り取る魔法を授けてほしい。


「莉良……」


耳元で囁かれるごとに、身体を甘い痺れが包み込んだ。



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