午前0時の誘惑
◇◇◇
「莉良、本当に出席しないつもり?」
午後から行われる社長交代の式典のために、ロッカールームは、着替える女子社員たちで異様な盛り上がりを見せていた。
その中で、私ひとりだけ帰り支度を始める。
そんな式典に用なんてない。
海生があの女性と微笑んで並ぶ姿を穏やかに見られるほど、私は出来た女じゃない。
「それじゃ、清香、また来週ね」
ぎこちない笑みを何とか浮かべ、清香に手を振った。